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長野地方裁判所 平成元年(わ)113号 判決 1989年10月26日

本店の所在地

長野市大字川合新田古屋敷北三、二二二番地二三

株式会社大丸屋

右代表者代表取締役

清水邦助

本籍

長野市大字長野横町三五三番地

住居

右同

会社役員

清水邦助

昭和三年一一月三日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について当裁判所は検察官安達敏男出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人清水邦助を懲役一年に、被告人株式会社大丸屋を罰金一〇〇〇万円にそれぞれ処する。

被告人清水邦助に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社大丸屋(昭和六二年一月四日以前の商号は株式会社丸と大丸屋商店で、同六一年一二月二〇日の組織変更前は有限会社丸と大丸屋商店)は、長野市大字川合新田字古屋敷北三、二二二番地二三に本店を置き、袋物、節句物等の販売を目的とする資本金六〇〇万円の法人であり、被告人清水邦助は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人清水は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外の割引債券を取得するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五九年九月一日から昭和六〇年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四、四四八万五、五三一円であったにもかかわらず、昭和六〇年一〇月三一日、長野市西後町六〇八番地の二所在の長野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、〇三三万九、二一七円でこれに対する法人税額が三二四万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一、七九八万三、三〇〇円と右申告税額との差額一、四七四万二、四〇〇円を免れ

第二  昭和六〇年九月一日から昭和六一年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四、一一九万九、二二六円であつたにもかかわらず、昭和六一年一〇月三一日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、七六五万七、三四〇円でこれに対する法人税額が六三七万一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一、六五四万六、七〇〇円と右申告税額との差額一、〇一七万五、一〇〇円を免れ

第三  昭和六一年九月一日から昭和六二年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四、七五一万九、二二一円であつたにもかかわらず、昭和六二年一〇月三一日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、〇四九万八、一三〇円でこれに対する法人税額が三二四万五、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一、八七五万一、九〇〇円と右申告税額との差額一、五五〇万六、一〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人清水兼被告人会社代表者の当公判廷における供述

一  被告人清水兼被告人会社代表者の検察官に対する各供述調書

一  被告人清水兼被告人会社代表者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  株式会社大丸屋代表取締役清水邦助作成の各答申書

一  清水泰江の検察官に対する供述調書

一  清水泰江、倉田修、玉井ちよ子、倉石雄治、武士良雄、小日向鉄成、久保藤平、大西康夫、松浦康史、山岸孝一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書

一  大蔵事務官作成の期末棚卸高調査書

一  大蔵事務官作成の期首棚卸高調査書

一  大蔵事務官作成の賞与金調査書

一  大蔵事務官作成の債券償還益調査書

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書

一  大蔵事務官作成の現金調査書

一  大蔵事務官作成の代表者勘定調査書

一  大蔵事務官作成の生命保険積立調査書

一  大蔵事務官作成の有価証券調査書

一  大蔵事務官作成の不突合金額調査書

一  大蔵事務官作成のその他所得調査書

一  大蔵事務官作成の増差所得の内訳調査書

一  大蔵事務官作成の各検査てん末書

一  大蔵事務官作成の写真撮影てん末書

一  長野税務署長湯澤敏夫作成の各回答書

一  登記官作成の登記簿謄本および閉鎖登記簿謄本

判示第一の事実について

一  滝澤芳一、佐藤信行の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五九年九月一日至昭和六〇年八月三一日のもの)

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(自昭和五九年九月一日至昭和六〇年八月三一日のもの)

一  大蔵事務官作成の修正貸借対照表(昭和六〇年八月三一日現在のもの)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和六〇年九月一日至昭和六一年八月三一日のもの)

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(自昭和六〇年九月一日至昭和六一年八月三一日のもの)

一  大蔵事務官作成の修正貸借対照表(昭和六一年八月三一日現在のもの)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和六一年九月一日至昭和六二年八月三一日のもの)

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(自昭和六一年九月一日至昭和六二年八月三一日のもの)

一  大蔵事務官作成の修正貸借対照表(昭和六二年八月三一日現在のもの)

(法令の適用)

判示各所為は、それぞれ法人税法一五九条一項(被告人会社につき更に同法一六四条一項)に該当するところ、被告人につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で、被告人を懲役一年に、被告人会社を罰金一〇〇〇万円にそれぞれ処することとし、被告人に対し、同法二五条によりこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 中野保昭)

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